今回は「売上関係」の税務調査について解説させて頂きます。
売上関係の税務調査のポイントは下記の通りです。
① 売上げの除外がないか?
⇒ 現金取引の会社の場合、売上げを除外することが比較的容易です。
例えば居酒屋であれば、特定のお客さんの飲食について売上伝票を記載せず、レジへの入力や領収書の発行もしなければ、書類上、当該売上げは存在しないことになります。
また、取引先からの売上げの入金を、社長や親族の個人口座へ振込ませる方法で、会社の売上げを除外しているケースもあります。
調査の際には、上記の様なケースがないかを精査して、売上げ除外の有無を確認していくことになります。
② 売掛金の計上は適正か?
⇒ 資産の譲渡や役務の提供が完了しているにも関わらず、実際の入金は翌月以降になるケースがあります。
会社の売上げは「発生基準」によって計上する必要がありますので、入金がまだでも売上げとして認識する必要があるのです。
その未入金の売上げが売掛金です。
具体的には決算月の翌月以降の通帳を確認し、入金があればそれが決算までの売上げか否かを検討し、決算までの売上げであれば、同入金額が売掛金として計上されているかを確認ます。
③ 仮受金や前受金として処理してある入金の中に、今決算の売上げとなるべき金額が含まれていないか?
⇒ 売掛金とは逆のケースで、仮受金や前受金という勘定科目を使うケースがあります。
資産の譲渡や役務の提供はまだ行っていないが、入金が先にある場合に処理する科目です。
これらの入金は今決算の売上げとしてカウントする必要はありませんが、同科目の中に、実は既に資産の譲渡や役務の提供が完了しているものが含まれていないか否かを確認することになります。
④ 売掛金の残高や回収状況、回収サイクルに不自然な個所はないか?
⇒ 売掛金はその取引先によって回収のサイクルが決まっているのが通常です。
その回収サイクルが崩れていたり、回収がされていない場合等には、事情を説明する必要があるかもしれません。
取引先の資金繰りの都合による等、合理的な説明ができれば良いですが、何年も前の売上げが残っている場合には、貸倒処理を検討する必要があるでしょう。
売上げのチェックは税務調査の際、まず最初に行われます。
また、売上げの除外は、それが故意であれ過失であれ重要な脱税行為とみなされ、重加算税の対象となる場合が多いです。
重加算税の対象となった場合には、本税の35%(過少申告の場合)~40%(無申告の場合)の罰金が課せられますので、十分に注意が必要です。
以上、今回は売上関係についてご説明させて頂きました。
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