多くの法人は「青色申告」という方法により決算申告書を作成しています。
これは青色申告による様々な恩恵を享受する為です。
具体的には、
●繰越欠損金の繰越控除
●少額減価償却資産の特例
などが挙げられます。
※それ以外にも銀行融資を検討している場合には、青色申告は必須です。
しかし、この青色申告は税務署の権限により取り消される場合があります。
今回は「二期連続で期限後申告をした場合の青色申告の取り消し」があった場合の、その後の流れについてご説明させて頂きます。
二期連続で期限後申告をした場合でも、一期目の申告については青色申告の取り消しはありません。
二期目の申告について青色申告が取り消され、白色申告による申告書の提出があったものとして取り扱われます。
しかし、二期目が期限後申告だからといって、当初から白色申告により申告を行うことはできません。
青色申告の取り消しは、税務署の通知があって初めて「取り消し」となるからです。
従いまして、青色申告の取り消し通知が来る前に申告をする場合は取り消し対象年度であっても「青色申告」により申告する必要があるのです。
しかし、最終的には後日通知により、期限後二期目の青色申告は取り消しとなるため、繰越欠損金や課税所得が変動する場合には修正申告書の提出が必要となります。
繰越欠損金額や課税所得が変動する場合とは、具体的には「赤字決算の場合」と「青色申告の特典を享受して課税所得が圧縮されている場合」が考えられます。
青色申告であっても、黒字決算で、かつ青色申告の特典を享受していない場合には、白色申告になった場合でも繰越欠損金額や課税所得金額に変動が生じないため、修正申告の必要は生じません。
【修正申告が必要な場合】
●赤字の場合には繰越欠損金に変動が生じるため必ず修正申告が必要となる。
●青色申告による特典(30万円未満の減価償却費の特例など)を利用している場合には課税所得が変わるため修正申告が必要となる。
【再度青色申告承認申請書を提出する場合】
青色申告が取り消しとなった場合でも、再度青色申告の適用を受けることは可能です。
しかし、再度青色申告承認申請書を提出する場合には、下記の提出制限があります。
●青色申告の取り消しの通知日から1年間は、青色申告承認申請書の提出は出来ない。
具体的に3月決算の法人を例にご説明させて頂きます。
(例)
3月決算法人
●平成25年3月期 期限後申告
●平成26年3月期 期限後申告
⇒ 二期連続の期限後申告により、平成26年7月20日、所轄税務署より「青色申告の取り消し通知」が郵便により送付(通知の時期はケースバイケースで決まっていません。)
⇒ 平成26年3月期は白色申告となり、場合によっては修正申告書を提出する必要が生じる。
⇒ この場合、平成27年7月20日以降であれば、再度「青色申告承認申請書」の提出が可能となるが、同届出の効力は翌事業年度からとなる。
⇒ よって、今回の場合、平成28年4月1日以降開始事業年度より青色申告が適用可能となる。
※平成26年3月期から平成28年3期までの3期については白色申告となる。
如何だったでしょうか?
青色申告の取り消しは課税上不利になるだけでなく、対外的な信用面でも避ける必要がある事由です。
何よりその後の手続きが面倒ですからね。。
うっかり申告を失念することのない様、ご注意いただければ幸いです。
以上、青色申告の取り消しがあった場合の、その後の流れについてご説明させて頂きました。
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