所長ブログ

貸倒引当金の設定による節税⑤(個別評価金銭債権①)

投稿者: shigeru yamada [ 2009 年 2 月 6 日 ]
カテゴリ: 決算直前の節税対策

最近はセミナーや研修、勉強会が目白押しです。

確定申告が始まる前に全て詰め込んだら連日になってしましました。。。

最近やった渋谷の勉強会では、ビークル(事業体)について二時間程話し合いました。

ビークルとは株式会社や合同会社、任意組合や投資事業有限責任組合、有限責任事業組合、投資組合や特定目的会社、投資法人などなどのことですが、事業の目的や優先順位などによって、使うべきビークルを意思決定する必要があります。

昔は株式会社位しかありませんでしたが、今では種類株式に加えて様々なビークルも存在し、かなり複雑化しています。。

これにNPO法人や公益社団法人やら財団法人、オフショアなどなどを加えていくと、天文学的な事業スキームが存在することとなり悩ましい限りです。。

日々の勉強は欠かせませんが、全てを網羅することはかなり困難だと感じます。

しかし全てを完全に記憶する必要はなく、頭の中にフィルターを作ることが重要だと思います。

「この案件にはあのスキームが考えられそうだ」

と頭のフィルターに引っ掛かりさえすれば、後は個別事情に照らして深く調べて掘り下げればよいのですから。

頭の中のフィルターの目を、少しでもきめ細かくして引っかかりを増やすためにも、まだまだ勉強勉強ですね。

 

では本題です。

今日は貸倒引当金の設定のうち【個別評価金銭債権】についてです。

個別評価金銭債権とは「貸し倒れる可能性が比較的高い金銭債権」のことを指します。

ちなみに前回までの「一括評価金銭債権」は、貸し倒れる可能性は低いが、過去の実績や一定割合によって一応積立るという性格のものでした。

さて、個別評価金銭債権が設定できる事由については、4つのパターンが限定されています。

ボリュームがあるため、4回に分けてご説明します。

ちなみに個別評価金銭債権とされる債権には、下記のものがあります。

1.売掛金

2.貸付金

3.その他これらに類する金銭債権

4.前渡金や保証金について返還請求を行った場合の返還請求権

 

個別評価金銭債権に係る貸倒引当金が設定可能な最初の事由は

「会社更生法の更生計画認可決定等特定の事由が生じたことにより、その弁済を猶予され、又は賦払いにより弁済されることとなった場合]

であり、次の計算式により算出した金額が貸倒引当金として計上可能な金額となります。

(対象金銭債権)-(特定の事由が生じた事業年度終了の日の翌日から5年を経過する日までの弁済予定金額)-(担保権の実行その他により取立て等の見込みが認められる部分の金額)

 

なんだかよく分かりませんが、特定の事由が生じた会社に対する金銭債権のうち、5年以内に回収が見込まれる金額と担保による回収が可能である金額を控除した残額については、回収可能性が低いために貸倒引当金が設定可能ということです。

では「特定の事由」とはなんでしょう?

それは

1.会社更生法又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定によ
  る更生計画認可の決定

2.民事再生法の規定による再生計画認可の決定

3.会社法の規定による特別清算による協定の認可の決定

4.法令の規定による整理手続によらない関係者の協議決定で次に掲げるもの
  ① 債権者集会の協議決定で合理的基準により債務者の負債整理を定めて
     いるもの

  ② 行政機関、金融機関その他第三者の斡旋による協議により締結された契
     約で、その内容が①に準ずるもの

 

設定要件についてはなかなか難しいとは思いますが、得意先に聞きなれない事態が生じたことを把握した場合には、上記に照らして貸倒引当金の設定を検討して頂ければと思います。

明日は【二つ目の事由】についてご説明します。

それではまた明日(^O^)/