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過去の残業代を支払った場合の税務上の取扱い

投稿者: shigeru yamada [ 2014 年 9 月 4 日 ]
カテゴリ: その他

今回は過去の残業代を支払った場合についてご説明させて頂きます。

昨今問題となっている「未払残業代」ですが、過去の残業代を支払う場合には「一時金として支払う」か「過去に遡り給与を修正して支払う」かによって会社や従業員の取扱いが異なってきます。

以下では2つのケースに分けてご説明します。

どちらを選択するかは自由ですので,下記を踏まえ,従業員の方々等関係者と協議して決定して下さい。



【一時金として一括して支払う場合】   

一括して支払う場合,実質的には「過去の労働の対価に対する精算」ではありますが,一定額を損害賠償金的に支払うと解釈し支給します。

① 会社税務上の取扱い(会社の処理)

賞与を支払った場合と同様,支払った日の属する事業年度の経費(損金)となります。

② 所得税法上の取扱い(従業員の処理)

賞与として取り扱われますので,支払いを受けた年分の給与所得となります。

一括して支給した場合、想定より年収が多くなり、超過累進税率による所得税負担が重くなる可能性があります。



【過去の給与を修正して支払う場合】   

過去の残業代の後払いとして,給与の不足分を支払う方法です。

① 会社税務上の取扱い(会社の処理)

過年度の事業年度について損益修正は必要なく,支払った日の属する事業年度の経費(損金)となります。

② 所得税法上の取扱い(従業員の処理)

雇用契約等により支給日が定められている給与等に該当するため,過年分の給与所得として修正処理をする必要が生じます。

会社としては,過去の年末調整をやり直す必要が生じ,源泉徴収票や給与支払報告書を再度提出しなければなりません。

従業員の方が確定申告をしていた場合には,確定申告についても修正申告する旨を通知します。



どちらの方法でも、残業代から差し引く源泉所得税は、実際に残業代を支払った月の翌月10日までに税務署へ納付します。

尚、納期の特例の適用を受けている場合には、半年毎の納付となります。





 

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