永年勤続社員へ対し、記念品や海外旅行をプレゼントするケースがあります。
今回は、この場合の税務上の取扱いについてご説明させて頂きます。
【取扱い】
永年勤続社員へ対し海外旅行等を供与した場合、その海外渡航費として支出した金額が,社会通念上相当と認められる金額である場合に限り,当該供与を受けた従業員の給与として源泉徴収する必要はありません。
尚、その支出は福利厚生費となり,会社の経費(損金)に算入されます。
最近では,永年勤続社員への記念品として,海外旅行を供与することが一般化しています。
この様な背景から税務上も当該取扱いについて定めています。
【従業員が経済的利益を供与された場合の原則的取扱い】
従業員が受けた金銭以外の物や権利その他経済的利益についても、給与と同様に所得税や住民税の対象となります。
【永年勤続者が受けた経済的利益の取扱い】
会社から海外旅行という経済的利益を受けた場合、本来は給与として課税の対象となります。
しかし,永年勤続者に対する記念品等の給付は,永年の会社に対する貢献という儀礼的意味合いが強いことから,次の要件を全て満たしていれば課税されません。
① 経済的利益の額が,その役員又は従業員の勤続期間等に照らし,社会通念上相当と認められること
② 表彰が,おおむね10年以上の勤続年数の者を対象とし,かつ,2回以上の表彰を受ける者については,おおむね5年以上の間隔をおいて行われるものであること
海外旅行は現在においては一般的なもの(社会通念上相当)となり、海外渡航費も手ごろな値段になりましたので,一般的な海外旅行なら,夫婦同伴でも給与として課税されるとはないと思われます。
【金銭での支給】
海外旅行に代えて金銭や商品券を受取った場合には,給与として扱われ課税の対象とされます。
旅行券を受取った場合も,相当の期間内に旅行をし,かつ,旅行をしたことの証拠資料を残しておかなければ,給与として課税されます。
【法人税法上の取扱い】
法人税法上は,福利厚生費(要件を満たさない場合には賞与)として損金に算入されることとなります。
但し、役員に対する賞与と認定された場合には、損金の額に算入することは出来ません。
当ブログに掲載された記事やトラックバック記載情報を参照した結果発生した損失や損害について、弊事務所は一切責任を負いかねますのでご了承ください。